公的機関におけるインテリアデザイン
公的機関のデザインも、インテリアデザイナーの仕事の一つです。一般住宅やオフィスの他に、市役所や図書館、文化会館や駅などのデザインも手掛けます。
それらは膨大な仕事になりますが、完成すれば多くの人が非常に長期にわたって利用する街のシンボルともなりますので、非常に稀な誉れある仕事です。
公的機関におけるインテリアデザインの概要を考えましょう。
インテリアデザインのコンセプト
公共施設の場合、外観も人目を引く重要な要素ですが、施設の性質上、中で過ごす時間の方が多くなります。
市役所や図書館などはその典型例で、外観を眺めるのはベンチやウォーキングスペースがない限りあまり機会がないでしょう。
そんな重要なインテリアデザインに関して、重視されているのは居心地の良さに加え、安全で安心感のあるインテリアです。
居心地の良さ
多くの公的機関の建物に入ると、非常にシンプルであまり奇抜なものはなく、どちらかといえば印象に残ってすらいないほどのものかもしれません。
実はそれ自体がインテリアデザインにおける目的の一つで、来る人やそこで働く人に溶け込むような色や材質で構成されることが多くなります。
市役所・公共交通機関などの公的機関では事務的な仕事やストレスの多い案件を扱う機会がどうしても多くなります。
そのため、刺激の強い色調やトーン、素材感でデザインすることを避け、仕事に集中しやすい、あるいはほっとしていられるような優しいデザインのものが多いのです。
目新しくなくても心地よくて長居してしまうようなデザインは、駅や図書館、市民センターなどの娯楽要素も取り入れる施設に利用されます。
落ち着きを与えるデザイン
公的機関の建物には解放感のあるデザインのインテリアが多いことに気づかれるでしょう。
天井は高く風の流れがあり、スペースは不特定大多数の人の来訪にも耐えうる立派なもので、階段やエレベーター、床の素材も長期・重量級の使用を想定してあります。
公的機関の建物は頑丈でかつ優しさを感じるものが多いのは、それだけ安心感を与えるためであり、万が一有事の際にも落ち着いてパニックを起こさないようなイメージを持てるよう、非常に繊細かつ合理的なデザイン目指して設計されます。
これはホテルやショッピングモールと違い、若者や子どもには幾分退屈に感じられるかもしれません。
まとめ
公的機関の建造物は国の建物です。威厳を示すとともに幅広く受け入れることが伝わるものでなければなりません。そんな仕事を請け負うデザイナーの重圧は相当なものでしょう。